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井上尚弥がナルバエスに不正を疑われた納得の理由

管理人

井上尚弥がナルバエスに不正を疑われた納得の理由

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第二ラウンド。

 挑戦者は手を緩めない。オマールも前に出るが、右ボディーを食らうと、その後はワンツー、ワンツーの連打が顔面へ飛んでくる。

 一分三十秒過ぎ。オマールは反撃とばかりに思い切って前に出て、右フックを放った。躱されたと思ったら、気付いたときには左膝をついていた。コンパクトな左フックを浴びていた。井上の狙い澄ましたカウンターだった。三度目のダウン。

 カウント七で立ち上がった。

 圧力をかけてくる井上。オマールは後退してロープ際に追い込まれた。挑戦者の左、左、右のパンチが顔面を襲う。オマールは必死になって顔をガードで固めると、空いた腹に左が飛んできた。なんとか堪(こら)える。まったく同じコンビネーションの顔面へ左、左、右から、左ボディーが二度続いた。二回目の左ボディーはえぐられるような痛みだった。もう耐えられない。一瞬の後れとともに、オマールは顔を歪め、崩れ落ちた。そのまま正座のような体勢になった。レフェリーのカウントが進む。

 立てない……。カウントは十を数えた。

 二回三分一秒、KO負け。

 四年半温めたベルトを手放すときがやってきた。

 「最後はもうこれ以上続けても無理だなという諦めだった。なので、続けなかった。立てたけど、もうダメージを食らうだけだという判断だった」

 そして、はっきりと言った。

 「井上と私の間に大きな差を感じたんだよ……」

衝撃の結末にセコンド陣は混乱していた。長兄マルセロが大きな声で言った。

 「井上のバンデージに何か仕込まれているんじゃないか」

 これまで不倒のオマールがこんなに倒れるはずがない。

 ネストルも兄が何度もひざまずく姿に驚き、井上陣営に歩み寄った。二〇〇九年一月、WBA世界ウエルター級スーパー王者のアントニオ・マルガリートがシェーン・モズリー戦でバンデージの中に石膏のようなパッドを不正使用していた疑惑が頭に浮かぶ。井上にグローブとバンデージのチェックを要求した。リング中央に集まり、井上がグローブを外した。拳に巻かれていたのは白い布だけだった。

 マルセロとネストルは現実を目の当たりにした。

 「ソーリー。ニューチャンプ、グレート!」

 二人は井上を褒め称え、謝るしかなかった。

 ネストルが恥ずかしそうに振り返った。

 「実際にグローブの中を見せてもらったら何も問題なかった。普通のバンデージだったよ。兄が何度も倒されて、チーム全体がびっくりしたし、そういった行動になってしまった。尚弥はモンスター。起こったことは本当なんだなと受け入れるしかなかったな」


 リング上では九歳の息子、ジュニアが泣いている。顔を覆い、声を上げて涙を流していた。息子に海外のタイトルマッチで闘っている勇姿を見せる。オマールが夢を叶えた試合。ところが、親子の美しい物語ではなかった。初めて倒され、負けた試合になってしまった。オマールは大泣きするジュニアを横目で見ていた。

 「試合前、負けることなんて誰も考えないよ。それが分かっていたら息子を連れてくることはなかった。もちろん、いつか負けるときが来る。だけどそれがこの試合とは思わなかった」

 世界王座を計二十七度防衛し、十二年にわたり、世界のトップに立ち続けてきた。三十五歳を過ぎたあたりから、オマールは心のどこかで「いつか適正階級で負けるときが来る」と覚悟していた。だが、まさか日本で、息子の前でリングを這うとは……。

 「永遠に勝ち続けることはないんだよ。いずれ誰かが私に勝つというのは分かっていた。私が王座を失うとき、判定負けはないだろう。試合の駆け引き、技術の攻防では負けない。だって経験があるからね。だから負けるとしたら、こういった試合。打たれて潰されるような試合しかないと思っていた。それが起きたんだな」

https://news.yahoo.co.jp/articles/a414d3c256df3ef1698c333a03c048c79fc63d11

みんなの反応はこちら

1:ボクシングファン
グローブの中に…の話しは結構なくらい有名になってますね。疑いたくもなるとは思いますが真実を見てすぐ謝罪して新しいチャンピオンと称えて礼をする。ナルバエス陣営も実際は良い人達ですね。

2:ボクシングファン
井上選手にとっても公明正大で後ろめたい事は何も無い事を世界に知らしめて良かったかも。

3:ボクシングファン
この記事を読むと、オマール側の気持ちもわかってきますね。
当日の記事のコメント欄ではいろいろ言われてましたけれど、オマール側もどう思われようと息子の前で惨敗した姿は見せたくなかったんでしょうね。

4:ボクシングファン
現在アメリカでは井上チャンピオンのドーピング疑惑が有るようだが、個人的に彼がそんな姑息なことをやるはずがないと信じて疑わない。
がしかし、記事のようにナルバエス陣営がバンデージを疑ってみたり、過去の対戦者や業界の人からドーピング検査をアメリカで受けるべきだとか言われているようだ。
そう疑いたくなる程に規格外に強いのだろうと思う。

5:ボクシングファン
伝説はあそこから始まったよね。その後の快進撃はみんな知っての通りだが、ナルバエスと陣営も今の井上の立ち位置を見ると嬉しいんじゃないかな

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